法律コラム

【連載】第2回 民泊って違法なの? 民泊が抱える法的な問題点とは

投稿日:2017年2月10日 更新日:

 

前回のコラムでは,①「民泊」って何だろう?②どうして今「民泊」が注目されているのか,③「民泊」にはどんな問題点があるのかについて解説しました。

第一回コラムはこちら

第2回目のコラムでは,③「民泊」の問題点のうち,法律上の問題点について少し詳しくみていきたいと思います。

 

1.「旅館業法」という法律と「民泊」

みなさんは,「民泊」は「法律違反である」とか「(適法か違法か判然としない)グレーである」という意見を聞かれたことがありませんか。

ここでいわれる「法律」とは「旅館業法」のことをいいます。

旅館業法は,1948年(昭和23年)7月に施行された法律で,旅館業の業務の適正な運営を確保することにより,旅館業の健全な発達を図るとともに,旅館業分野における利用者の需要の高度化及び多様化に対応したサービスの提供を促進し,もって公衆衛生及び国民生活の向上に寄与することを目的として制定されています(旅館業法第1条)。

旅館業法では,「宿泊料を受けて人を宿泊させる営業」を旅館業,「宿泊」とは「寝具を使用して施設を利用すること」として定義しています。そして,旅館業を経営するものは都道府県知事(保険所設置市または特別区については市長または区長)の許可を受ける必要があります。

この許可を受けないで旅館業を経営した者は6月以下の懲役又は3万円以下の罰金に処せられます(旅館業法第10条)。

ところで,「民泊」は宿泊料を受けて民間の住宅を旅行者に提供して宿泊させるサービスですが,「民泊」を提供するホストの方たちは旅館業を経営するための許可を受けていないのが一般的です。

そのために「民泊」は旅館業法に違反するのではないか?と問題視されているのです。

 

2.「民泊」は旅館業法違反なのか?

では,「民泊」は旅館業法に違反するのでしょうか?

さきほどの「宿泊料を受けて人を宿泊させる営業」に「民泊」が該当するのか検討しましょう。

 

(1)「宿泊料を受けて」

「宿泊料を受けて」というのは無償ではなく有償で,という意味です。

「宿泊料」という名目でなくとも休憩料や寝具賃貸料といった実質的に寝具や施設の利用の対価とみなされるものも「宿泊料」に含みます(厚生労働省HP)。

(2)「宿泊させる」

「寝具を使用して施設を利用すること」という意味です。

(3)「営業」

「社会性をもって継続反復されているもの」という意味です。

インターネットで知り合った方に有料で個人的に宿泊させている,ということであれば一個人の生活上の行為であって社会性があるとはいえません。また継続反復していないので,旅館業法には違反していないと考えることもできます。

しかし,仲介サイトなどを利用して反復継続して有料で不特定多数の方を対象に宿泊料を受けて宿泊させているとなると「営業」にあたります。

このように「民泊」が「宿泊料を受けて人を宿泊させる営業」に当たる場合には旅館業に該当し,旅館業法上の許可が必要になります。このような「民泊」を無許可のまま行うことは旅館業法違反になります。なお,厚生労働省の規制改革会議においても仲介サイトを通じて反復継続して有償で部屋を提供する者は旅館業法の許可が必要とされています(http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kaigi/meeting/2013/committee4/151005/item1-3.pdf

平成27年11月には,京都府警がマンションを「民泊」として外国人旅行者を有料で宿泊させていた業者の役員を旅館業法違反で書類送検したケースもあります。

 

とはいえ,東京や大阪,都市部のホテルの稼働率は80%を超えており,客室が足りないのが現状です。また,家や車などをシェアする共有型経済,いわゆるシェアリングエコノミーという考え方も広まっています。

そこで,旅館業法の適用を本来受ける「民泊」についても規制を緩和する動きが広まりつつあります。

次回のコラムでは「民泊」に関する規制緩和の動きとして,国家戦略特別区域,条例の制定について解説します。

 

■執筆者紹介
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吉山晋市(よしやま しんいち)
弁護士法人みお綜合法律事務所 弁護士
大阪府生まれ 関西大学法学部卒業
弁護士・司法書士・社会保険労務士・行政書士が在籍する綜合法律事務所で,企業法務,不動産,離婚・相続,交通事故などの分野に重点的に取り組んでいる。

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